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2月 池田学さんの細密画宇宙

印刷 文字を大きくして印刷 更新日:2017年2月1日更新 <外部リンク>

 多久市出身の画家・池田学さんの個展が佐賀県立美術館で3月20日まで開かれています。感動の世界満載の作品120点が揃っています。今は米国ウィスコンシン州マディソンのチェゼン美術館で創作活動を続ける池田さん。その画法は1ミリ以下の極細ペンで描くというユニークなものです。そして作品は巨大で細密。下書きなしで描く流儀に多くの人が驚嘆します。
 オープニングセレモニーでのあいさつで、感極まり涙声の瞬間もありました。「こんなに多くの人が待っていてくださったことの幸せに感謝します…」。そのメッセージが心に響きました。
 展示室入口の純白壁を曲がると、池田ワールドが広がっています。ひときわ眼をひく巨大な新作は、離れて見て分かる感動や作品に近づき目を凝らして観てこそ分かる発見もあります。その細密部分に、人生で出会った出来事、発見や感動、せつない祈りや大きな希望などが凝縮し散りばめられています。
 ファンタジーのようにも、自叙伝のようにも描かれています。全体としての迫力と波動のようなうねりが作品から伝わります。花と思える部分も凝視すると事物集積だったり、深い思いを伝える長編詩ストーリーやパノラマ描写もあったり。さらに独自のユーモアもさりげなく隠されています。それを見出すのもおもしろい。その描写の原点に多久の自然があるとも。
 幸いにも、子どもたちは入場無料です。自分の特性を活かし人生を切り開けることを感じてもほしいし、これから生きる未来への勇気と希望も見出してほしい、と願っています。
 絵画への志を立て、東京芸術大学へ進み、選ばれてカナダのバンクーバーで創作に打ち込み、作品の出会いから米国の美術館に招聘され滞在制作プログラムへ。途中に辛苦克服もあったでしょう。だからこそ優しい心と祈りを秘める詩人のような画風が輝いています。多くの方に見ていただきたいですね。