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【市長コラム】孔徳懋(こうとくぼう)先生と「恕」の心(令和3年12月号)

印刷 文字を大きくして印刷 更新日:2021年12月1日更新 <外部リンク>

 多久聖廟のある多久は孔子直系子孫との御縁を頂いています。第七十七代子孫孔徳懋先生は温厚柔和な北京在住の105歳。以前に多久聖廟に参詣もされ、感激されました。
 徳懋先生とは、友好交流で孔子生誕地・山東省曲阜市の世界遺産である孔廟、孔府、孔林を訪れた際に、北京で初めてお目にかかりました。大きな母のようなお人柄が印象的でした。
 11月初旬に先生が体調不良でICUに入院との報が入り、心配でお見舞いしたくとも、コロナ禍で叶いません。出入国にも経過観察などが必要で片道2~3週間程を要するのです。
 せめて多久の心を届けたいと、墨筆のお見舞いメッセージをSNSで送信。するとすぐに返信が来ました。こちらの心遣いに感謝され、メッセージに感涙し、元気を取り戻されたとのことでした。有り難く拝見し、更なるご快復を祈念しました。
 しかし、国内コロナ禍がやや落ち着きを見せる11月15日、先生の訃報が届きました。哀惜の念ひとしお胸に迫りました。19日の葬儀に、弔電をご遺族と中国人民政治協商会議の汪洋(おうよう)主席に送りました。先生は同会議委員で、国としての葬送の儀式に日本国多久市長名の供花もさせていただきました。北京の方角を仰ぎ、黙祷を捧げ、御霊の安寧の祈りを捧げました。
 激動の世紀を過ごされた徳懋先生が強調されるが「恕」です。孔子が諭した人生を貫く最重要徳目で「己の欲せざる処 人に施すことなかれ」の教えです。恕の実践を、次代を担う第七十九代子孫・孔垂長(こうすいちょう)先生はじめ未来の世代へ繋ぐことがSDGs時代に益々重要です。コロナ禍にこそ恕を共有したいものです。
 あわただしさが増す師走、お健やかにお過ごし下さい。