詩人の坂村真民さんは、長き歩みを糧として人々に光を与える詩を創作されている。毎月自ら送付される詩集『詩国』がある。B4版表裏一枚の紙に整然とならぶ詩が勇気や気付きを魂に与える。
その458号の後記に真民先生の憂いが記されている。「今一番の日本の危機は、誠実さがなくなったことである。大人も子どもも、官僚も財界も、この日本民族の魂といってもよい美徳をなくしてしまった。溜め息をついても、もうどうすることもできない処まできてしまった。(中略)でも希望は捨てない」。
あきらめは早すぎる。我々の努力では足りない、一人では何もできぬと言うのは努力不足の弁解だ。人に声をかける勇気の無さをかばっているだけなのだ。
最新号では「明るく生きよう」と呼びかけられる。「政治も経済も行き詰まっている。でも自然界は明るい。草の花、木の花が、思い思いの色と形をして、天地の恵みに感謝して、喜びの声を挙げている」。その姿に学びたい。
真民先生の真骨頂というか、祈りの詩がある。
念ずれば花ひらく
苦しいとき 母がいつも口にしていた
このことばを わたしもいつのころからか
となえるようになった
そうしてそのたび
わたしの花が ふしぎと
ひとつひとつ ひらいていった (とし)