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10月 人づくりにこそ

印刷 文字を大きくして印刷 更新日:2003年10月1日更新 <外部リンク>

 昭和から平成に活躍された評論家で松下政経塾の縁で出会いをいただいた草柳大蔵先生は、日本と日本人の美、礼儀の重要性を説かれていた。「応接室で待つ時は立ったままで控える」などの体験談には感心し、教えを見いだしたものだ。若い世代には渾身の努力を期待し促されていた。多久で講演をして頂いたこともある。
 残念にも昨年逝去され、『絶筆・日本人への遺言』が出版された。最期まで世を憂い、構想を練り、執筆が続いていたという。テーマは主に教育に集中している。あらゆる時代の全てのリーダーが人材育成を最重要課題とした歴史があるからだ。教え育むことが未来創造につながる。だからこそ、日本人としての誇り、歴史や文化の教養、品格や礼儀などの修得が求められる。
 そのなかに次のような記述がある。「家庭にあっては父親は子どもを恐れ、学校にあっては教師は生徒のご機嫌をとり、生徒は先生を軽蔑し、社会にあっては年長者は若い人から頭が堅いとか、建前主義だとか言われるのを恐れて、冗談と軽口を叩いて一日を過ごしているv。
 まるで今日の状況を表現したかのようだが、実は二千四百年前のギリシャの哲学者プラトンの言葉とのこと。
 『遠野物語』で知られる柳田國男氏の「美しい村」の紹介もある。「美しい村なんていうのは、はじめからあろうはずがなくて、人々が美しく住もうと思ってこそ村は美しくなるのである」との内容だ。美しいまちづくりを目指す多久市としても肝に銘じ努力したい。(とし)