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1月 命知元年に

印刷 文字を大きくして印刷 更新日:2004年1月1日更新 <外部リンク>

 新年あけましておめでとうございます。
 今年は市政施行50周年にあたります。昭和29年5月1日に小城郡の一部だった北多久町、東多久村、南多久村、多久村、西多久村の一町四村が合併して誕生しました。それから半世紀。人々の想い出や貴い努力、忘れ難い感激など、その時々のさまざまな出来事を経て、今日に至っています。
 市政も、行政を取り巻く環境の変化、例えば三位一体の改革など、変化の渦中にあります。一方では、市役所の仕事もサービス産業ととらえ創意工夫と改革が必須であり、その挑戦は当然の時代です。また市民の個性・特技発揮による官民協働の時代でもあります。市民・市役所・市議会の総力を結集して、住みたい美しいまち多久の創造に取り組んで参りたいと存じます。
 さて論語に「十有五にして学に志し、三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る」とあります。五十歳は人の生涯において命知の年ともいわれます。ぜひ今年を「命知元年」にしようではありませんか。
 命知には、まず自分の特性を知り、才能や能力を発揮する気構えを堅くもつことが欠かせません。自分を信じる力を大事にしたいものです。誠心誠意努力すれば天は必要な結果を出すと信じて事に当たる勇気を持ちたいものです。運なるものを受け止め、むしろ運を担ぎ上げて進む程の内面の強さも大切です。
 そのような自己をつくるには志を立てることが重要です。自分のためだけでなく、大切な人のため、そして社会や世界の人のため、自分にできることから何かを始めよう。そんな志も持ちたいものです。
 かつて明治維新期に、新しい日本づくりに向かうとき、米国・欧州を視察した一行に郷土出身者もいました。多久出身の鶴田皓(斗南)は若くして同行し、随行書記官役を果たし『米欧回覧実記』を遺した久米邦武も佐賀県出身で、詳細な諸国観察を記述しました。彼は、米国や英国等に感心もしましたが、小国にも大いに興味を示しています。デンマーク・スイス・オランダなどの小国の発展と、大国にも劣らぬ生活や文化芸術創造に感心しています。「大国おそるべからず、小国あなどるべからず」との見解を持ちました。国々を比較し、「なぜ百年でこんなに発展したか」と考察し、「自由と自立の心意気をもつ民の力がその根底にある」と分析をしています。この教訓は今日にも通じます。
 世界に一つだけの多久らしい花を咲かせ、小さくともキラリと光る多久を創るべく、自由で自立心旺盛な市民の皆さんと協働で未来創造をしていきたいと存じます。
 さあ甲申(きのえさる)の新年。歴代総理指南役をした安岡正篤翁の教えによれば、甲申の新年は「春の息吹とともに木の芽が殻を破って出てくるように、旧来の陋習(ろうしゅう)や古い体制を打破して、日に新たな革新の正しい気風を盛り上げて、万事を伸展させていけば前途は明るい」とのこと。
 皆さんの健勝とご多幸を祈念申しあげます。(とし)