「大丈夫よ」。嫁ぐ日に、肩をしっかりと抱きしめて、その言葉を何度もかけて娘に母の心を伝える。
それが紀宮さまを見送る皇后さまだったと知った。
さる11月15日に、紀宮清子内親王殿下と黒田慶樹氏が結婚された。皇后さまゆかりの多久としても、誠におめでたいご慶事であり、心よりお喜び申し上げます。
簡素な中にも感動を分かち合う結婚式の内容は、誓詞の大切さ、新郎新婦の愛情と信頼が原点であり、その讃美と激励こそが結婚式の基本であることをあまねく私たちにもお伝えになっているようにさえ感じられました。
婚礼の朝、天皇陛下は「家族の絆はかわらないから、折々にいらっしゃい」とお言葉をおかけになり、皇后さまは、先に述べたように、「大丈夫よ」と何度も肩を抱きしめられたということです。
家族を大切にされる深い愛情と、静かに巣立ちを見守られるあたたかいお心が伝わり、両陛下の深い愛情に感激いたしましたし、家族を中心とした子育てや教育を重んじられるお気持ちが伝わってまいりました。
この日、式場に向かう車列が皇居を出る際も、通常は頭を垂れて見送る慣例のところを、宮内庁職員全員が拍手で見送られたそうです。拍手なら、誰もが紀宮さまの晴れ姿に祝意を表し、笑顔を交わすことができるという皇后さまの配慮からの提案によるものだったそうです。
お二人が静けさの中にもあたたかく愛情深いご家庭を育まれることを心よりお祈り申し上げます。(俊)