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12月 小島直記先生の教え

印刷 文字を大きくして印刷 更新日:2009年12月1日更新 <外部リンク>

 「少にして学べば、壮にして成すあり。壮にして学べば、老にして衰えず。老にして学べば、死して朽ちず」(佐藤一斎)。
 この言葉を重んじられた伝記作家・小島直記先生は「だから生涯学べ」と唱えられました。心惜しくも昨年他界され、先頃「小島直記先生を偲び・志を新たにする会」に参加しました。
 先生との出逢いは松下政経塾での後輩指導担当時代の「小島講座」です。陽光の中、富士裾野の小島直記伝記文学館でお目にかかりました。輪読の合間に「諸君は」と語られ、それは私塾の威風で、先生の気迫が響きました。最初の講義は「人物、伝記、歴史、古典に学べ」です。人生は出会い、必要な出会いは遅くもなく早くもなく到来すると説かれ、人物に学べ、加えて伝記を通じて古今東西の人物に学べと導かれました。でも、「自伝信ずべからず、他伝信ずべからず」も口癖で、そこには常に本物を求めて真実に生きろという烈々たる願いがあります。
 「一灯を提げて暗夜を行く、暗夜を憂うなかれ、ただ一灯を頼め」(同)もよく引用されました。「一灯が肝心」で、「人生に原理原則・テーマをもて。その成就に格闘する生き方が大事」と熱弁されました。著作『志に生きた男たち』『出世を急がぬ男たち』『逆境を愛する男たち』の三部作は学びの宝庫です。
 さらに「諸君が不正を行えば、枕元に化けて出て叱責する」と断言され、厳格な容姿の奥に青年への期待がありました。
 塾内に隣接して住んだ頃には、当時、幼年の息子とともに先生の散歩に遭遇しました。その温厚な笑顔はまた格別で、春光のようなお人柄が輝き、忘れ得ぬ思い出になっています。
 一年の計を考える年始が近づいています。良い年を。(俊彦)