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5月 多久に眠るお宝

印刷 文字を大きくして印刷 更新日:2018年5月1日更新 <外部リンク>

 今春の桜はきれいでした。強風も雨も少なく、満開で佇む姿が実に美しかった。開花期間がいつもより長い印象でした。名所のみならず、いろいろな場所、ご近所や自宅でも桜をめでた方も多いでしょう。
 聖廟近くの三年山でもソメイヨシノ、八重の桜が咲きました。
 この三年山の地下には遺跡が眠っています。今年は文化庁と連携し、改めて多久の石器遺跡群の調査を始めます。調査は4~5年にわたると思います。
 実は石器や考古学の分野で、「多久」はとても有名です。それもそのはず、三年山や茶園原など周囲には石器文化遺跡群が残っています。広がりは鬼の鼻山山麓一帯にわたり、その全容を明らかにするとともに、貴重な再発見に期待も膨らみます。石器の原産地遺跡としては、西日本最大級の遺跡になると考えられます。
 そんな準備を進める一方で、牟田部地区発掘調査で六世紀初頭の副葬品である馬具・武具が出土しました。ピンポン玉よりも大きな3つの青銅の球体が金具で繋がれた三環鈴(さんかんれい)。さらに同様なデザインの鈴杏葉(すずぎょうよう)も出ました。こちらは大人の指先大の5つの鈴型部品が繋がれていて、細かい文様も施されています。しかもどうやら大陸からの渡来品とのこと。一部に青銅で修理した跡も鮮明に見えます。修繕技術の工房もあったのでしょうか。
 いずれの鈴も音色がします。驚きました。まさに1400年を超え再現される響きです。青銅の錆である緑青もあり、最初の完成時とは異なるかもしれませんが、今この二一世紀に響く音色に感激しました。
 今後、展示できるよう処理や対応を進め、みなさんにもご披露できればと思います。
 まさに歴史を深堀りしながら未来志向で発信に臨みます。