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スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の防除対策について

印刷 文字を大きくして印刷 更新日:2024年2月7日更新
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 昨今、多久市においても、多発する水害や暖冬によりスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の被害が増加傾向にあり、これまでに生息が確認されてこなかった地域においても被害が拡大しています。このページでは、ジャンボタニシの生態と防除対策について紹介しておりますので、是非ご覧ください。

 なお、三重県松坂市HPを参考に『苗箱を使ったジャンボタニシ捕獲器』を作成し、東多久地区の農業委員・推進委員の方々の協力のもと、実証実験を行い、ある程度の効果がありました。実証実験の様子と捕獲器の作成方法を掲載しますので、ご活用ください。

 各ご家庭にあるものを用いて、簡単に作成することができます。

※作成し、設置した捕獲器は流されないように、おもりなどで固定してください。

ジャンボタニシ   ジャンボタニシ2

ペットボトルを使った捕獲器の作成方法(三重県松坂市HPより) [PDFファイル/1.5MB]

苗箱を使った捕獲器の作成方法(三重県松坂市HPより) [PDFファイル/2.72MB]

 

スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の生態

来歴

 南米原産。1981年に食用目的で台湾から初めて日本に輸入され、養殖がはじめられたが、人気が出ず、商品価値を失い、養殖業者の廃業等によって放置され、農業用水路や水田で野生化した。

形態

・リンゴガイ科の1種である大型の巻貝。成貝は殻高2~7cm程度。
・殻口は大きく、角質のふたを有する。
・殻の色を黄褐色~黒褐色で黒色に近いものもある。
・在来のタニシとの見分けは難しいが、濃いピンク色の卵塊があれば生息しているとわかる。
・他のタニシ類に比較して、螺旋の上部の長さが短く、殻径と殻高の長さがほぼ同じ。
農水省掲載 スクミリンゴガイ防除対策マニュアルより

・色は濃いピンク色でよく目立つ。200~300個程度の卵からなる卵塊を形成する。
 ふ化直前は黒~白っぽく、ふ化すると白色になる。
・卵は水中ではふ化できないため、卵塊を水中に払い落とすことで駆除が可能。
 ただし、ふ化直前の黒~白っぽい卵は水中でふ化可能であるため、除去または押殺が必要。
・神経毒が含まれるため、卵を食べる生き物はほぼいないとされる。
農水省掲載 スクミリンゴガイ防除対策マニュアル

繁殖と寿命

・ふ化後、およそ2か月で繁殖可能。雌成貝は年間20~30回産卵。
 年間産卵数は3,000個以上となる。繁殖力が高い。
・産卵期間は4月~10月ごろで、産卵数は5月下旬から9月上旬に最も多くなる。
 越冬個体は春に水温が上昇するとすぐに産卵を開始する。
・寿命は2~3年。多くの個体は2年目の産卵期を終えると寿命を迎える。

越冬

・摂食活動は水温15~35℃で行い、14℃以下では活動を停止し、休眠(越冬)する。
・圃場や用排水路で地中に潜って越冬。
 越冬個体は約8割が地表から深さ6cm以内に分布。
・寒さに弱く、越冬率は九州で5~10%。
 暖冬の年は越冬率が上がる。
 関東の水田内で60%~90%の越冬率を示した事例がある。
・圃場では、収穫後に稲わらがあると、温床効果で越冬率が高まるとされる。

食性

・雑食性。主として植物質を食べる。
・特に柔らかい植物を好み、稲(田植え直後の稚苗)やレンコン(幼葉)などを食べる。
・苗は3週間程度まで食害されやすいが、それ以降になるとほとんど食害されない。

天敵

・ネズミ、サギ、カモ(アヒル)、スッポン、コイ、フナ、ホタルの幼虫、ヒル等

防除対策について

 ジャンボタニシの防除については、一部の田んぼだけで行うだけではなく、水路や農道などでつながっている周辺の田んぼの耕作者が連携・協力して、一体的に取り組むことが効果的です。

また、時期や場所に応じで有効となる防除対策は次のとおりです。   

ジャンボタニシ防除対策一覧
対策項目 対策内容

田植え前の石灰窒素の散布

(発生量の多い場合に実施)

 荒起こし後、3~4cm水を張り、3~4日放置して貝を活動状態にさせた後、石灰窒素を全面に散布します。散布後は、3~4日湛水を保ち、貝を致死させます。その後、丁寧に代かきを行い、2~3日以上おいて田植えを行います。(稲に対する薬害を避けるため、散布から田植えまで7日以上空けます。)

 魚毒性が高いため、漏水防止対策を行うとともに、散布後7日間は落水、かけ流しはしないでください。

水路網の設置

(水路に発生している場合に実施)

 貝の侵入・移動を防止するため、田植え前の入水時から田植え後3週間まで、取水口や排水口に9mm目合い程度のネットや金網を設置します。

水路での殺卵

(見かけた場合に必ず実施)

 濃いピンク色の卵の場合、水中で呼吸できないため、水路の壁などから水中に削り落としてください。しかし、黒~白っぽい卵の場合はふ化直前であり、水中に落としてもふ化できるため、押しつぶす必要があります。

田植え時の薬剤散布

(発生している場合に必ず実施)

 田植え時のジャンボタニシの被害が出る前にメタアルデヒド粒剤等(スクミノン、ジャンボたにしくん等)効果が高い薬剤を散布します。

 いずれも湛水状態で、圃場の発生状況に応じて、圃場全面に均一に散布、深水部分への局所的な散布、額縁散布など適切な散布を行います。

 散布後、確実な効果の発揮のため少なくとも3~4日間は湛水状態(水深3~5cm)を保ち、他の生物に影響が出ないよう7日間は落水、かけ流しはしないようにします。

田植え後の浅水管理

(発生している場合に必ず実施)

 貝の活動を抑制するため、田植え後3週間は水深を4cm(理想は1cm)以下に維持することで実害がほとんどなくなります。

 浅水管理が困難な場合は、薬剤散布との組み合わせにより被害を防止します。圃場全面に均一に散布することが望ましいが、水深が深く貝が集まる場所に重点的に薬剤を散布するなど、臨機応変に対応します。

秋期の石灰窒素の散布
(発生量が多い場合に実施)

 稲刈り後、水温が17℃以上の時に3~4cm水を張り1~4日放置して貝を活動状態にさせた後、石灰窒素を全面に散布します。散布後は3~4日湛水状態を保ち、貝を致死させます。田面水は水路に流さず、自然落水させます。

冬期の耕うん

(発生している場合に必ず実施)

 厳寒期前のロータリー耕うんにより越冬しようとする個体を物理的に破壊するとともに寒風にさらします。

 効果を高めるためには、土壌水分が少なく田面が固い時に耕うんします。また、トラクターの走行速度を遅くし、ロータリーの回転を速くし、土壌を細かく砕くように耕うんすることでも高い効果を見込めます。

<注意事項>

 トラクターを移動させる際は、貝を別の圃場に持ち込みのを防ぐために、爪やアタッチメントもよく洗ってください。

冬期の水路泥上げ

(発生量が多い場合に実施)

 厳冬期に水路の泥上げを行うことにより、越冬しようとする個体を寒風にさらして死滅させます。地区全体で実施すると効果が高まります。

※ただし、気温が0℃以下になる日が連続しないと効果は見込めません。

<注意事項>

掘り上げた泥については、圃場に持ち込まないようにしてください。

 

その他の対策

田畑転換

 ジャンボタニシは水がなくなると土中に潜り、殻の中に閉じこもって休止状態となるが、1年ほどでほとんどの個体は死亡するため、水田と畑作を1年ずつ交互に実施する田畑輪換は効果が高いといわれています。

生物的防除

 水田にジャンボタニシの天敵のアイガモやコイ、スッポンを放し、貝を捕食させることで被害が減少します。
<注意事項>
 生物多様性保全の観点から問題となる可能性があるため、地域に生息する在来種を活用してください。

関連情報

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