人権だより【災害と人権】
災害と人権
日本は地震や台風、豪雨などの自然災害が多い国です。昨年の1月1日に発生した「令和6年 能登半島地震」から1年が経ちました。今でも避難所で生活している方々がいます。また、がれきの撤去が進んでいない地域もあり、完全な復興にはまだ時間がかかると予想されています。佐賀県でも豪雨災害が発生しました。私たちは誰もが被災者になる可能性があります。災害時における人権問題を考えてみました。
要配慮者
要配慮者とは、災害時に特別な配慮が必要な人々のことを指します。具体的には、高齢者、障がい者、難病患者、乳幼児・妊産婦、外国人などが含まれます。
東日本大震災では、犠牲者の60%が高齢者でした。また、障がい者のうち2%超が犠牲になっており、住民全体を占める犠牲者1%弱に対して障がい者は2倍以上です。熊本地震では、犠牲者のうち、震災関連死が直接死の4倍で、70歳以上の高齢者が80%を占めていました。
避難所における配慮例
高齢者
- 避難所からなるべく近くにトイレを作る 夜中にトイレに行くのを減らすため、水分補給を控え、脱水症状になり、震災関連死につながる危険もある
- 適度に体を動かす機会の提供が必要。筋肉の低下、視力、聴覚の低下、免疫力の低下がおこりやすい
- 水分摂取、声かけ等の配慮
障がい者
- 視覚障がい・聴覚障がいのある人に対しては、情報提供の方法に配慮する
- 知的障がい者、精神障がい者は、集団生活やはじめての経験に混乱し、ストレスでパニックになることがあることを理解する
- 車椅子で通ることができる通路の確保
- ケアマネジャー関係機関との情報の共有
妊産婦・乳幼児・女性
- 授乳場所の確保、オムツを替える場所が必要
- 性別役割分担による避難所運営 食事作り、トイレ清掃掃除等、女性が担当と決めつけない
- 暴力や性的ないやがらせ。女性や子どもを犯罪から守るため見守りの実施
- 避難所運営陣に必ず女性をいれること
外国人
- 情報障害 災害時にしかでてこない日本語や日本特有の表現が理解できないことによる混乱をなくす工夫
- 直訳しても伝わらないいい回しを避ける 例えば、余震に気をつけましょうやご自由にお取りくださいなど
- やさしい日本語を活用する
共助と人権の意識を高めましょう
「自助(じじょ)」は自分の命は自分で守ることが、防災の基本と言われます。「公助(こうじょ)」は行政による支援のことです。そして「共助(きょうじょ)」は、家族だけでなく、隣近所、地域コミュニティ(町会・自治会など)単位での助け合いの体制を作ること、災害発生時は助け合うことです。「共助」は日々の暮らしの中でも大切なことであり、「共助」の意識を高めるには、人に対する思いやりの気持ちを持つことが重要です。災害で救出された人の多くは、隣近所の人に助け出されています。避難行動、避難所の円滑な運営にとても大事なことです。共助は、周囲の人との助け合いやお互いの思いやりの気持ち、地域での普段からのコミュニケーションが大きな力を発揮します。防災対策や災害対応では、この3つの「自助」「共助」「公助」という考え方が連携することが大切です。