人権だより(令和5年1月)
こどもの意見の表明
1989年に国連総会で、18歳未満のすべての人の基本的人権を尊重することを目指す「児童の権利に関する条約」、通称「こどもの権利条約」が採択され、これを受けて、国の関係省庁や地方自治体においては、こどもに関するいろいろな施策が展開されてきました。
こどもの権利条約の基本4原則には、こどもの意見の尊重、こどもの最善の利益、差別の禁止、生命や発達に対する権利があります。こどもの人権について、「こどもの意見表明の権利」を考えてみましょう。
こどもの権利条約の基本4原則には、こどもの意見の尊重、こどもの最善の利益、差別の禁止、生命や発達に対する権利があります。こどもの人権について、「こどもの意見表明の権利」を考えてみましょう。
「こども家庭庁」と「こども基本法」
関係省庁や地方自治体では、待機児童対策や幼児教育・保育の無償化、児童虐待防止対策の強化が進められてきました。しかし、この10年間で児童虐待相談は全国で3倍の20万7千件、不登校件数も2倍の24万4千件と増加し、令和3年度は過去最多となり、こどもを取り巻く状況は深刻でコロナ禍がその状況に拍車をかけています。
こども施策において長年の課題とされてきた、年齢の壁、施策ごとの制度の壁、関係省庁の縦割りの壁を打破し、総合的、一体的に支援を行うため、令和5年4月から内閣官房「こども家庭庁」が設置され、「こども基本法」が施行されます。
こども施策において長年の課題とされてきた、年齢の壁、施策ごとの制度の壁、関係省庁の縦割りの壁を打破し、総合的、一体的に支援を行うため、令和5年4月から内閣官房「こども家庭庁」が設置され、「こども基本法」が施行されます。
こどもの意見表明の権利とは
こども基本法の中に、「すべてのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係するすべての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会活動に参画する機会が確保されること」と定めています。今後、公的な会議やパブリックコメントにもこどもが参画し、意見を表明する機会が増えてくるでしょう。実際に校則や制服の問題もこどもたちの意見が反映されてきています。
先取りコミニュケーション
こどもの頃「わがままを言うな」「あなたは、まだこどもだから」「あなたのためを思って」などと言われ物事を決められた経験はありませんか。親や保護者がこどもの意見を聴く事なしに規制することは、「先取りコミュニケーション」と言われています。大人が「先取りコミュニケーション」を続けると、こどもたちは「なぜ?どうして?」と考えることをあきらめ、言われた事だけをする指示待ちや、親が望む「良い子」を演じるようになる弊害があるとも言われています。私たちには、こどもは心身の発達の過程であるという認識を持ち、はじめから否定したり、無視せず、その意見にていねいに応答する義務があります。
権利を学ぶことで責任と義務も学ぶ
「こどもに権利を与えては、身勝手な行動を規制できなくなる。」「やりたい放題にしていると、おとなになっても無責任な人間になってしまう。」このような考えから権利より責任を主張する人もいますが、体罰や食事を与えない、育児放棄など、こどもの生命に危険を及ぼしかねない事案もでてきています。しつけと称した児童虐待や体罰は絶対ゆるされないことです。
私たちはこどもが自立した個人として、ひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会を実現させる責任があります。こどもの意見表明に対し、大人が真剣に向き合い、個人として話し合う機会が増えれば、こどもは自分の権利を学ぶとともに、他者の権利を尊重する責任も学ぶことができるのではないでしょうか。私たちは、こどもは将来の社会を担う、未来からの預かりものとして見守り育てていきましょう。
私たちはこどもが自立した個人として、ひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会を実現させる責任があります。こどもの意見表明に対し、大人が真剣に向き合い、個人として話し合う機会が増えれば、こどもは自分の権利を学ぶとともに、他者の権利を尊重する責任も学ぶことができるのではないでしょうか。私たちは、こどもは将来の社会を担う、未来からの預かりものとして見守り育てていきましょう。