人権だより(令和4年11月)
心のバリアフリーとユニバーサルデザイン
バリアフリーとは
バリアとは人が何かするときに妨げとなるもの、壁や障壁を言います。たとえば、自動販売機のボタンは、高い位置にあると、小さな子どもや車いすの人にとっては、バリアとなります。視覚に障がいのある人にとっては、建築物や道路がバリアとなることがあります。だれもが安心して気持ちよく暮らすために、社会のバリアを取り除くことをバリアフリーと言います。
バリアフリーを妨げる4つのバリア
バリアフリーを妨げるものとして、4つあります。階段や狭いスペースなどの物理的バリア、資格試験などの制度的なバリア、視聴覚障がいがある人が文化・情報を得る場合のバリア、そして心のバリアです。
階段わきのスロープやエレベーター、点字ブロック、バリアフリートイレの設置、点字や手話サービス、音声情報により文化や情報に触れる機会も少しずつですが増えてきました。
階段わきのスロープやエレベーター、点字ブロック、バリアフリートイレの設置、点字や手話サービス、音声情報により文化や情報に触れる機会も少しずつですが増えてきました。
ユニバーサルデザインとは
バリアフリーと聞くと、特別な人に対する特別な配慮という感じがするため、最近では「ユバーサルデザイン」の使用が増えてきました。「ユニバーサル」とは「人類に共通の」という意味の英語です。年齢や身長・体重、力の強い人・弱い人、右利き・左利き、障がいの有無やさまざまな国籍の人など、多種多様な人びとがいます。すべての人が人生のある時点で、事故や加齢、病気などで何らかのバリアを体験することがあることを発想の起点として、すべての人が安心して、快適に暮らせる社会を目指すのが「ユニバーサルデザイン」の考え方です。
ユニバーサルデザインの7原則
ユニバーサルデザインに必要な要素は主に7つあります。だれもが公平に使えること、使う上で自由度が高いこと、使い方が簡単ですぐ分かること、必要な情報がすぐに分かること、ミスをしても危険につながらないデザインであること、無理のない姿勢と少ない力で楽に使えること、利用しやすいスペースと大きさがあることです。
誰もが公平に、安全かつ、無理をせず簡単に使えることが原則です。
誰もが公平に、安全かつ、無理をせず簡単に使えることが原則です。
ユニバーサルデザインの例
ユニバーサルデザインの考え方で作られた物をご紹介します。長時間の歩行が困難な人のための「ハンドル型電動車いす」、車いすスペースのある車両や駅改札口の拡張、左右兼用なべ、文具などもあります。また、さわってわかるシャンプー容器やテレビの音量を上げずに聴くワイヤレススピーカーなどもあります。1964年の東京オリンピックの時に、大勢の外国人にも分かりやすいように考案された「ピクトグラム」の考え方に基づいた非常口表示は世界共通になっています。
心のバリアフリー
これからも社会のバリアフリー化がさらに進み、みんなが使いやすい製品が開発されてくるでしょう。しかし、最大の課題は、私たちが、障がいのある人やお年寄りなどに、偏った見方をしたり、かわいそうだと特別あつかいしたり、無関心だったりする心の壁です。ある人にとっては障壁でないものが、別のだれかにとっては壁になってしまうことに、一人ひとりが気づき、行動に移すことが心のバリアフリーと言えます。物理的なバリアの解消も当然ですが、自分の中にある心のバリアを取り除く「心のバリアフリー」に取り組んでいきましょう。