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個人情報保護法の過剰反応について

印刷 文字を大きくして印刷 更新日:2018年12月10日更新
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個人情報保護法が平成17年4月に全面施行されたことを契機に、必要とされる個人情報の提供が行われなかったり、各種名簿の作成が中止されるなど、いわゆる「過剰反応」と言われる状況も一部に見られます。
この背景としては、(1)個人情報保護法の誤解や理解不足、(2)個人情報保護制度の導入を名目として個人情報の提供を拒んでいることなどが指摘されています。
個人情報保護法の目的は、個人情報の有用性に配慮しつつ個人の権利利益を保護することであることから、この法律の趣旨にのっとり、個人情報の適正な取扱いが確保される必要があります。
そこで、このホームページにおいては、個人情報保護法の解説を行うとともに、過剰反応と指摘されている事例についての解説を行っていますので、参考にしてください。

過剰反応Q&A

Q1 個人情報保護法や各自治体の個人情報保護条例などがありますが、誰に適用されるのですか?

A 「個人情報保護法」は、「民間事業者」が個人情報を取り扱う時のルールについて定め、「個人情報保護条例」は、「県・市・町」が個人情報を取り扱う時のルールについて定めています。

【説明】

  1. 個人情報保護制度は、個人情報の取扱いのルールを定めることにより、個人の権利利益を保護することを目的としています。
  2. 個人情報保護制度においては、個人情報を取り扱う主体ごとにルールが定められており、
    1. 民間事業者は、個人情報保護法(5,000件を超える個人データを保有しているものに限る)
    2. 国の行政機関は、行政機関個人情報保護法
    3. 独立行政法人は、独立行政法人等個人情報保護法
    4. 地方公共団体は、県・市・町それぞれの個人情報保護条例
      となっています。
  3. したがって、同じ高校であっても、県立高校と私立高校では、そこでの個人情報の取扱いのルールは、それぞれ、県の個人情報保護条例、個人情報保護法に基づくこととなります。
    また、同じ公立学校であっても、A市立中学校とB市立中学校でのそれは、A市の個人情報保護条例、B市の個人情報保護条例と違うこととなります。

Q2 私立学校において生徒の緊急連絡網は作成・配布することはできないのですか?

A 入学時や新学期の開始時に、緊急連絡網を作成して生徒に配布するという利用目的を明示し、本人の同意の上で電話番号等を提出してもらえば、作成・配布することができます。

【説明】

  1. 私立学校(5,000件を超える個人データを保有しているもの)における個人情報の取扱いのルールは、個人情報保護法に規定されています。
  2. 私立学校が緊急連絡網を生徒に配布することは、法23条の第三者提供に該当します。法23条には、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」と規定されています。
  3. 生徒に配布(提供)する場合は、あらかじめ本人の同意が必要になりますので、私立学校においては、電話番号等を取得する際に、緊急連絡網として生徒に配布(提供)することを明示するとともに、本人の同意を得ておく必要があります。
    ただし、全員の同意が得られないときは、同意する者の範囲で作成・配布するなど、適切に対処する必要があります。

【参考】

「学校における生徒等に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」解説(平成17年1月文部科学省大臣官房総務課)
1ここでは、個人情報保護法第23条に規定する第三者提供に関する事項として、事業者が生徒等の個人データを第三者へ提供する場合に留意すべき事項を定めています。
(私立学校を設置する事業者が第三者に個人データを提供する例)
保護者等に緊急連絡網等の連絡名簿を配布する場合
事業者が第三者に対して個人データを提供する場合は、個人情報保護法第23条第1項に基づき、原則として、あらかじめ本人の同意を得る必要があります。これらの事例については、事業者にあっては、これまで学校運営上必要なこととして、本人の同意を得ることなく取り扱われてきたところですが、個人情報保護法上では、取得時等に事業者が適切に同意を得る手続きを取ることにより、従来どおり個人情報の提供を行うことができます。ただし、本人の同意が得られないときは、個人情報保護法第23条第1項に規定される例外(本人の同意を得ないで提供できる場合)に該当しなければ、第三者提供はできませんので、同意する者の範囲で作成、配布するなど、適切に対処する必要があります。
なお、第三者提供を行う際の具体的な手続きとしては、以下のような例が考えられます。
(第三者提供を行う際の手続きの例)
緊急連絡網等の連絡名簿を作成・配布する場合
学校が、緊急連絡網や住所録等を提供することについて、あらかじめ生徒またはその法定代理人である保護者から同意を得るとき。
・入学時の案内等で、学校が取得した生徒の個人情報を緊急連絡網として保護者や地域の関係団体等に提供することを本人または保護者(法定代理人)に明示し、同意の上で、所定の用紙に必要な個人情報を記入・提出してもらう。
・新学期の開始時に、保護者会での配布資料や連絡プリント等で、学校が保有している生徒等の個人情報を緊急連絡網として保護者や地域の関係団体等に提供することを本人または保護者(法定代理人)に明示し、同意の書面を提出してもらう。
なお、緊急連絡網等の連絡名簿を各家庭等へ配布する時の安全管理への配慮としては、印刷は必要部数に限り、利用目的または保有期間の終了とともに学校に返却、あるいは各自で確実に破棄するなどの対応が考えられます。
(中略)
なお、個人データを保護者や卒業生等の特定多数の者に配布する場合については、各事業者は、これらの者において利用目的に沿った利用と適切な保護、管理が行われるよう配慮が求められます。例えば、次のような留意事項を明示することにより個人情報の保護を求めることなどが考えられます。
(明示する留意事項の参考例)

  1. 名簿等に記載された生徒や保護者等の個人データは個人情報保護法によって保護される対象であり、慎重に取り扱われるべきものであること
  2. 名簿等に含まれる個人データをむやみに第三者へ公表・開示したり、不当な目的に利用させたりしないこと
  3. 名簿等を破棄する場合は、適切、確実に行うこと
  4. 名簿等の複写および複製を禁じることなど

Q3 地域の自治会において、住民の氏名、電話番号が記載された自治会名簿を作成し、住民に配布することはできないのですか?

A 自治会が、自治会名簿として住民に配布するという利用目的を明示し、本人の同意を得ていれば、作成・配布することができます。

【説明】

  1. 自治会が住民の氏名・住所・電話番号・その他情報を記載した名簿を各住民に配布することは、法23条の第三者提供に該当します。
  2. 法23条には、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」と規定されています。
  3. 各住民に配布(提供)する場合は、あらかじめ本人の同意が必要になりますので、自治会においては、氏名・電話番号等を取得する際に、自治会名簿を作成し、配布(提供)することを明示するとともに、本人の同意を得ておく必要があります。
    ただし、全員の同意が得られないときは、同意する者の範囲で作成・配布するなど、適切に対処する必要があります。
  4. なお、個人情報保護法が適用される「個人情報取扱事業者」には、その保有する個人情報が5,000件以下の事業者は含まれませんので、自治会の規模によっては、法の適用を受けない自治会も多いと思われます。

Q4 同窓会が、同窓会名簿を作成し、配布することはできないのですか?

A 本人から住所、勤務先などの情報を取得する場合に、同窓会名簿を作成し、同窓会会員へ配布するという利用目的を明示し、本人の同意の上で提出してもらえば、作成・配布することができます。

【説明】

  1. 同窓会(5,000件を超える個人データを保有しているもの)が、同窓会会員に同窓会名簿を配布することは、法23条の第三者提供に該当します。法23条には、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」と規定されています。
  2. 同窓会会員に配布(提供)する場合は、あらかじめ本人の同意が必要になりますので、同窓会においては、住所、勤務先などの情報を取得する際に、同窓会名簿を作成し、同窓会会員へ配布するという利用目的を明示し、本人の同意の上で提出してもらえば、作成・配布することができます。
    ただし、全員の同意が得られないときは、同意する者の範囲で作成・配布するなど、適切に対処する必要があります。
  3. また、第三者提供についての本人の同意がない場合でも、次のような「オプトアウト」をすることとしていれば、同窓会名簿を配布することは可能です。

オプトアウトとは、本人の求めにより、個人データの第三者への提供を停止することとしている場合には、一定の要件を満たせば、あらかじめ本人の同意がなくても第三者への個人データの提供ができることをいいます(個人情報保護法23条2項)。
一定の要件とは、次のとおりです。
ア 本人の求めにより提供を停止すること
イ 次の事項をあらかじめ本人に通知し、または本人が容易に知り得る状態に置いていること

  1. 第三者提供を利用目的としていること
  2. 提供される個人データの項目
  3. 提供の手段または方法
  4. 本人の求めに応じて提供停止すること

具体的な方法として、同窓会は、次の点についてあらかじめ、a)本人に郵便、電話、電子メール等で通知するか、b)同窓会事務所の窓口への掲示・備付け、ホームページ・同窓会誌への掲載等によって、本人が容易に知ることができる状態に置くことが必要です。

  1. 同窓会名簿として同窓会会員に配布すること
  2. 名簿に登載される情報の内容(氏名、住所、勤務先、卒業年等)
  3. 名簿に登載し配布すること
  4. 本人の求めに応じて提供停止すること

Q5 私立病院において、大規模災害や事故などの緊急時に、家族等からの安否確認に対して回答することできますか?

A 大規模災害や事故などの緊急時に、多数の傷病者が一時に搬送され、家族等からの問い合わせに迅速に対応するためには、本人の同意を得るための作業を行うことが著しく不合理である場合は、回答することができます。

【説明】

  1. 私立病院(5,000件を超える個人データを保有しているもの)が、家族等に対して、患者の情報を提供することは、法23条の第三者提供に該当します。法23条には、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」と規定されています。
  2. 第三者提供の制限の例外として、「人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき(法23条1項2号)」は本人の同意を得ないで第三者提供できることとなっています。
  3. 厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドラインに関するQ&A Q5?17」には、次のように記載されています。

「Q 大規模災害や事故等で、意識不明で身元の確認できない多数の患者が複数の医療機関に分散して搬送されている場合に、患者の家族または関係者と称する人から、患者が搬送されているかという電話での問い合わせがありました。相手が家族等であるか十分に確認できないのですが、患者の存否情報を回答してもよいでしょうか。
AA 患者が意識不明であれば、本人の同意を得ることは困難な場合に該当します。また、個人情報保護法第23条第1項第2号の「人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合」の「人」には、患者本人だけではなく、第三者である患者の家族や職場の人等も含まれます。」

Q6 私立病院において、意識不明の患者の病状についてその家族に説明できますか?

A 意識不明の患者の病状についてその家族に説明することはできます。

【説明】

  1. 私立病院(5,000件を超える個人データを保有しているもの)が、患者の情報をその家族に提供することは、法23条の第三者提供に該当します。法23条には、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」と規定されています。
  2. 第三者提供の制限の例外として、「人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき(法23条1項2号)」は本人の同意を得ないで第三者提供できることとなっています。
  3. 意識不明の患者の病状や重度の認知症の高齢者の状況を家族に説明する場合について、厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン2.5」には、次のように記載されています。

「5家族等への病状説明
意識不明の患者の病状や重度の認知症の高齢者の状況を家族等に説明する場合は、本人の同意を得ずに第三者提供できる場合と考えられる。この場合、医療・介護関係事業者において、本人の家族等であることを確認した上で、治療等を行うに当たり必要な範囲で、情報提供を行うとともに、本人の過去の病歴、治療歴等について情報の取得を行う。本人の意識が回復した際には、速やかに、提供および取得した個人情報の内容とその相手について本人に説明するとともに、本人からの申出があった場合、取得した個人情報の内容の訂正等、病状の説明を行う家族等の対象者の変更等を行う。
なお、患者の判断能力に疑義がある場合は、意識不明の患者と同様の対応を行うとともに、判断能力の回復にあわせて、速やかに本人への説明を行い本人の同意を得るものとする。」
また、同ガイドライン3.5(2)2には、次のように記載されています。
「2人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
(例)
・意識不明の患者の病状や重度の認知症の高齢者の状況を家族等に説明する場合」

Q7 私立病院において、学校で怪我をした生徒に付き添ってきた担任教諭に生徒の怪我の状態などを説明することはできますか?

A 生徒が付き添ってきた担任教諭の同席を拒まないのであれば、生徒本人と担任教諭を同席させて、怪我の状態や治療の進め方等について説明することができます。

【説明】

  1. 私立病院(5,000件を超える個人データを保有しているもの)が、生徒の診療情報を担任教諭に説明(提供)することは、法23条の第三者提供に該当します。法23条には、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」と規定されています。
  2. 厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン3.5(3)、ガイドラインに関するQ&A Q5?23」には、次のように記載されています。

「(3)本人の同意が得られていると考えられる場合
傷病の内容によっては、患者の傷病の回復等を目的とした場合であっても、個人データを第三者提供する場合は、あらかじめ本人の明確な同意を得るよう求めがある場合も考えられ、その場合、医療機関等は、本人の意思に応じた対応を行う必要がある。
1患者への医療の提供のために通常必要な範囲の利用目的について、院内掲示等で公表しておくことによりあらかじめ包括的な同意を得る場合
医療機関の受付等で、診療を希望する患者から個人情報を取得した場合、それらが患者自身の医療サービスの提供のために利用されることは明らかである。このため、院内掲示等により公表して、患者に提供する医療サービスに関する利用目的について患者から明示的に留保の意思表示がなければ、患者の黙示による同意があったものと考えられる。
また、

  • (ア)患者への医療の提供のため、他の医療機関等との連携を図ること
  • (イ)患者への医療の提供のため、外部の医師等の意見・助言を求めること
  • (ウ)患者への医療の提供のため、他の医療機関等からの照会があった場合にこれに応じること
  • (エ)患者への医療の提供に際して、家族等への病状の説明を行うこと

等が利用目的として特定されている場合は、これらについても患者の同意があったものと考えられる。
(例)
・家族等への病状説明
病態等について、本人と家族等に対し同時に説明を行う場合には、明示的に本人の同意を得なくても、その本人と同時に説明を受ける家族等に対する診療情報の提供について、本人の同意が得られたものと考えられる。
同様に、児童・生徒の治療に教職員が付き添ってきた場合についても、児童・生徒本人が教職員の同席を拒まないのであれば、本人と教職員を同席させて、治療内容等について説明を行うことができると考えられる。」
3したがって、怪我の状態等について、本人と家族等に対し同時に説明を行う場合には、明示的に本人の同意を得なくても、その本人と同時に説明を受ける家族等に対する診療情報の提供について本人の同意が得られたものと考えられます。同様に児童・生徒の治療に教職員が付き添ってきた場合についても同じように考えられます。

Q8 Xは、駅のエスカレーターで前に乗っていた人が転倒し巻き添えになり怪我し入院した。Xは加害者に対して損害賠償を請求したいが、氏名等がわからないので、教えてほしいとY電鉄に申し出た。Y電鉄は、加害者Zの個人情報をXに提供することはできないのでしょうか?

A Y電鉄としては、加害者Zに連絡を取り、Zの連絡先を教えることについて同意を得た上で、Xに連絡すれば問題はありません。
また、Zの同意がなくても情報提供を行えるとも考えられます。

【説明】

  1. Y電鉄(5,000件を超える個人データを保有しているもの)が、Xに対してZの情報を提供することは、法23条の第三者提供に該当します。法23条には、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」と規定されています。
  2. したがって、Y電鉄がXに提供する場合、あらかじめ本人Zの同意を得ておく必要があります。
  3. しかし、Zは自分が責任追及されるため、同意しない可能性もありますが、次のような場合に該当すれば、Y電鉄が提供することも可能と考えられます。

第三者提供の制限の例外として、「人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき(法23条1項2号)」は本人の同意を得ないで第三者提供できることとなっています。
Xが損害賠償請求を行うために必要と主張している点で、「人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合」に当たり、また、加害者に同意を求めても同意をしないであろうと予想される場合には、「本人の同意を得ることが困難であるとき」に当たり得ると解する余地もあります。

Q9 家電製品に重大な欠陥があり事故を起こす危険性があり、それを回収するため、メーカーから販売会社に対して、顧客情報の提供について依頼がありました。販売会社は、メーカーに対して顧客情報を提供することができますか?

A 家電製品に重大な欠陥があるような緊急時には、メーカーに顧客情報を提供することができます。

【説明】

  1. 販売会社(5,000件を超える個人データを保有しているもの)が、メーカーに顧客情報を提供することは、法23条の第三者提供に該当します。法23条には、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」と規定されています。
  2. 第三者提供の制限の例外として、「人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき(法23条1項2号)」は本人の同意を得ないで第三者提供できることとなっています。
  3. 経済産業省の「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン等に関するQ&A 2(4)49」には、次のように記載されています。

「Q 過去に販売した製品に不具合が発生したため、製造会社で当該製品を回収することになりました。販売会社を通じて購入者情報を提供してもらい、製造会社から購入者に連絡を取りたいのですが、購入者数が膨大なため、販売会社が購入者全員から第三者提供についての同意を得るのは困難です。さらに、製品の不具合による人命に関わる事故が発生するおそれもあるため、製品を至急回収したいのですが、このような場合でも購入者全員の同意を得なければならないですか。
A 製品の不具合が重大な事故を引き起こす危険性がある場合で、購入者に緊急に連絡を取る必要があるが、購入者が膨大で、購入者全員から同意を得るための時間的余裕もないときは、販売会社から購入者の情報を提供することは、法第23条第1項第2号(第三者提供制限の適用除外)で規定する「人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」に該当するため、購入者本人の同意を得る必要はありません。」

Q10 警察から銀行に対して、顧客情報について捜査関係事項照会があった場合、銀行は回答することができますか?

A 警察の捜査関係事項照会に対しては、顧客情報を提供することができます。

【説明】

  1. 銀行(5,000件を超える個人データを保有しているもの)が、警察に顧客に関する情報について提供することは、法23条の第三者提供に該当します。法23条には、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」と規定されています。
  2. 第三者提供の制限の例外として、「法令に基づく場合(法23条1項1号)」は本人の同意を得ないで第三者提供できることとなっています。
  3. 経済産業省の「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン等に関するQ&A 2(4)48」には、次のように記載されています。

「Q 刑事訴訟法第197条第2項に基づき、警察から顧客に関する情報について照会があった場合、顧客本人の同意を得ずに回答してもよいですか。同法第507条に基づき、検察官から裁判の執行に関する照会があった場合はどうですか。
A 警察や検察等の捜査機関からの照会(刑事訴訟法第197条第2項)や、検察官および裁判官等からの裁判の執行に関する照会(同法第507条)に対する回答は、「法令に基づく場合」(法第23条第1項第1号)に該当するため、これらの照会に応じて顧客情報を提供する際に本人の同意を得る必要はありません。なお、これらの照会は、いずれも、捜査や裁判の執行に必要な場合に行われるもので、相手方に回答すべき義務を課すものと解されており、また、上記照会により求められた顧客情報を本人の同意なく回答することが民法上の不法行為を構成することは、通常考えにくいため、これらの照会には、一般に回答をすべきであると考えられます。ただし、照会に応じ警察等に対し顧客情報を提供する場合には、当該情報提供を求めた捜査官等の役職、氏名を確認するとともに、その求めに応じ提供したことを後日説明できるようにしておくことが必要と思われます。」

Q11 社員の個人情報について弁護士法に基づく弁護士会照会があった場合、回答することはできますか?

A 弁護士法23条の2の規定に基づく弁護士会照会に対しては、社員の個人情報を提供することができます。

【説明】

  1. 会社(5,000件を超える個人データを保有しているもの)が、社員の個人情報について弁護士会に提供することは、法23条の第三者提供に該当します。法23条には、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」と規定されています。
  2. 第三者提供の制限の例外として、「法令に基づく場合(法23条1項1号)」は本人の同意を得ないで第三者提供できることとなっています。
  3. 経済産業省の「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン等に関するQ&A 2(4)47」には、次のように記載されています。

「Q 弁護士法第23条の2に基づき、当社社員の情報について弁護士会から照会があった場合、当該社員の同意を得ずに弁護士会に当該社員情報を提供してもよいですか。
A 弁護士法第23条の2に基づく弁護士会からの照会に対する回答は、「法令に基づく場合」(法第23条第1項第1号)に該当するため、照会に応じて提供する際に本人の同意を得る必要はありません。なお、弁護士法第23条の2に基づく弁護士会からの照会は、強制力を伴わないものの、一般に回答する義務があると解されており、同照会制度の目的に即した必要性と合理性が認められる限り、一般に回答をすべきであると考えられます。」

Q12 私立病院での診療の結果、患者の児童が虐待を受けたことが判明したのですが、本人の同意なく、福祉事務所や児童相談所に連絡することはできますか?

A 虐待を受けた児童を発見した場合は、福祉事務所や児童相談所に通告しなければなりません。

【説明】

  1. 私立病院(5,000件を超える個人データを保有しているもの)が、福祉事務所や児童相談所に連絡することは、法23条の第三者提供に該当します。法23条には、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」と規定されています。
  2. 第三者提供の制限の例外として、「法令に基づく場合(法23条1項1号)」は本人の同意を得ないで第三者提供できることとなっています。
  3. 厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン3.5(2)1」には、次のように記載されています。

「(2)第三者提供の例外
ただし、次に掲げる場合については、本人の同意を得る必要はない。
1法令に基づく場合
医療法に基づく立入検査、介護保険法に基づく不正受給者に係る市町村への通知、児童虐待の防止等に関する法律に基づく児童虐待に係る通告等、法令に基づいて個人情報を利用する場合」
4虐待を受けた児童を発見した者は、児童虐待の防止等に関する法律6条1項により通告が義務づけられており、この例外規定に該当しますので、福祉事務所や児童相談所に通告しなければなりません。

Q13 個人情報保護法を理由として国勢調査に協力しない者がいると新聞に掲載されていましたが、協力しなくてもいいのですか?

A この場合、個人には個人情報保護法が適用されませんので、個人が個人情報保護法を理由に国勢調査に協力しないというのは、誤っています。また、国勢調査は統計法により回答が義務づけられています。

【説明】

  1. 個人情報保護法が適用されるのは、一定の「個人情報取扱事業者」となっています。
  2. 本件のように個人が当該本人の個人情報だけを取り扱う場合においては、ここでいう「個人情報取扱事業者」には該当しないため、個人情報保護法は適用されません。
  3. また、国勢調査は統計法により回答が義務づけられています。